インタビュー 夢・希望・未来 ~想いのカタチ~

笑顔をプレゼントできる体育館を目指して

奥州市総合体育館
館長 髙橋 淳様

建設当初、体育館の1フロアの大きさは東北で一番

Q.体育館と使用状況について教えてください。

平成10年4月にオープンし、当時合併前で水沢市として、平成11年のインター杯のために建設した体育館です。平成9年、10年あたりが岩手県内で体育館の建設ラッシュでした。一関市と、現在で言うと奥州市、北上市、花巻市、宮古市に大きな体育館が作られました。建設当初では、本体育館の1フロアの大きさは東北で一番でした。
インターハイ後も、2016年の岩手国体・いわて大会(障害者スポーツ大会)。その他にも全国中学校体育大会、プロリーグでしたり。今でしたらbリーグ(正式名称:ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)とか、バレーボールであればVプレミアリーグとか、日本の大きな大会なども開催し、もちろんこの地区の小・中・高・一般の方にも多く使われている施設です。

地元の方にも広く使われている施設なんですね。

そうですね。あまり、大きい大会ばかりだと敷居が高いように思われるので。そうでは無くて、広く一般的に使っていただいている体育館ですね。

アクセスも決していいというわけでは無いのですが、地方は車社会ですので、比較的駅からも近いですし、ご利用いただきやすいかと思います。

バリアフリー云々と騒がれてきている時代に
建てられてはいたのですが、
どうしても健常者向けの施設なんですよね。

Q.高橋館長はいつからこちらの体育館に?

最初から居ます。平成10年4月1日がオープンだったのですが、その準備の段階からでしたので、平成9年12月20日くらいから居ます。20年くらい経ちますかね。

20年!すごいですね。まさに共に歩んできた体育館と言いますか。その中で、施設や活動が変わっていってるなぁ。と感じたことはありますか?

最初の数年はもう訳が分からない中でやっておりましたので。
それこそ、極端な話、どこに何があるのか分からない。という感じでしたね。
そして、何年かするごとに、やはり老朽化というものは避けられないものでして、利用者の方もいつも同じ方とは限りませんし、「ココいいよね!」という方もいらっしゃれば、「ココこういう風にした方がいいよね」というなお声もあるわけですよね。

そこで、御社の歩導くんを何故導入したのか。という所に繋がってくるのですが、お客さんが施設の中のどこに何があるのか分からないということがありまして。「サブアリーナってどこですか?」「二階の観客席に上がる階段はどこですか?」と言った感じですね。本施設には、トレーニングルームもあるのですが、初めて来たお客様には分からないんですよね。
色々と表示はしているのですが、働き慣れた私たちからすれば「ここに表示が貼ってあるんだけどな」とは思うのですが、気付かないんですよね。入ってこられる際に、足元を見ている方が多いので、「廊下にペイントで書こうか。」という案も出たのですが、すぐに剥がれてしまうだろうと。と相談しているところに、御社が飛び込みでいらしたんですよね(笑)

なんというタイミング!(笑)

製品の説明を受けて、「これ、いいね」となりました。
この歩導くんを考えられたのは目の不自由な方ということで、ニーズとしては視覚障がい者向けだとは思うんですけれど。誘導マットに色がついていたり、文字が記載できることも良かったですし、後付で点字ブロック(誘導ブロック)の代わりになるというのも良かったです。私たちも、荷物などの運搬の際にガタガタせずに済みますし、車輪が壊れてしまうこともないですし、ありがたいですね。

本施設は、入口から入って事務室の前までしか点字ブロックが設置されておらず、当時、予算があれば奥まで設置したかったんですけれども、叶わずでして、まずは必要最低限ということで、事務室までの設置となっておりました。バリアフリー云々と騒がれてきている時代に建てられてはいたのですが、どうしても健常者向けの施設なんですよね。
最初から福祉関係をターゲットにした体育施設、もしくは公共施設であれば、もっとバリアフリーに特化していたと思いますが、20年も前だと、今のカタチが限界だったんですね。あくまでも健常者向けに造られて、ちょっと足したバリアフリーでしかなかったんです。
ですので、後付で設置できる歩導くんは良かったですね。床面を削らなくてもいいのも良かったです。岩手国体もあり、ここも障害者スポーツの大会会場でしたので、非常にいいタイミングで設置させていただきましたね。

障がいの種類・度合によっては、バリアフリーのはずが、
誰かのバリアになる要素になるかもしれないんだな。
と感じることもありました。

Q.現状のバリフリーについてどのように感じていますか?

前は全然気にもしなかったですね。

今は、色んな方と接する機会に恵まれていますので、何か障害をお持ちの方たちの声を聞く度に「確かになぁ…。」と思うことが増えました。

特に急な角度のスロープを見ると「これは…。」と思いますね。
私が住んでいる町内に集会場があるんですが、一応スロープはあるんです。でもこれが、若干、急こう配でして。これは車いすじゃなくても、足の不自由な高齢者の方も厳しいのではないかな。と思います。でも、緩やかなスロープを付けようにも、立地条件上どうしてもこのスロープしか無理だったんだろうぁ…。というのは思いました。

色んな方のお話を聞く中で、障がいの種類・度合によっては、バリアフリーのはずが、誰かのバリアになる要素になるかもしれないんだな。と感じることもありました。
先のスロープの件でもそうですが、登り切った先や降りきった先に点字(警告)ブロックがあると、車いすの方にはガタガタして辛いだろうなぁ。とも思いますが、点字ブロックは視覚障がいの方には必要不可欠なものではあるし…。

歯痒いですよね。

「すべての人に満足してもらう」これは理想ですよね。
「すべての人が譲り合う・理解し合う」という気持ちを持たないと、先の理想の実現は難しいのかもしれませんね。自分たちだけのことを考えてしまうと、まとまりがつかなくなってしまうので。

 

色んな方が目的に合ったスペースを選択できればいいですよね。

Q.岩手国体以降、障がい者スポーツなどの大会は本体育館で開催されているのですか?

ないですね。というのも、例えば、車いすの方の卓球となりますと、その競技用の卓球台が無くて、対応できないという点もあります。岩手大会の時のように、全て持ち込みであれば対応はできるのですが、そうなると大荷物となり持ち込む側も大変ですしね。であれば、最初から設備が揃っていて、選手の方も普段から利用されている会場で開催される方が、運営側も選手側も使い勝手がいいというのもあるかもしれませんね。色んな方が目的に合ったスペースを選択できればいいですよね。

例えば武道館は柔道や剣道が専用で使いますが、兼用でバスケットもできるような造りになっています。一般の体育館としても利用できる。空いているスペースを有効活用ができる。
武道だけではなく、オールマイティな施設なんですよね。体の不自由な方でもご利用いただけるように設備を整えたい気持ちはあるのですが、なかなか難しいですね…。

ふとした瞬間に「あっ。今日、体育館に行こう。」と
思ってもらえるように、皆さんの身近な存在になって欲しいです。

Q.今後はどのような施設運営を目指していきたいですか?

本施設は、奥州市の財産であり市民の財産でもあると思っています。
20年前のころと同じように体育館を維持していければとは思うんですけれども。老朽化には勝てないところはありますね(苦笑)

ですが、1年でも2年でも長くいい状況を維持しながら、一人でも二人でも多くの方に健康づくりのためなどに活用していただければと思います。
小中高生については、特に小学生ですかね。色んなスポーツを経験してもらって、将来的に奥州市から大谷翔平選手に続くような日本でもトップクラスの選手になってくれればと思いますね。そのきっかけの一つにしてもらえたら嬉しいですね。大きい体育館を見て、「でっかいなー!!ここでもっと試合したいな!」というような気持ちにさせるような体育館にしていきたいです。

トレーニングルームもありまして、1日60人強の方にご利用いただいていますが、もっと皆さんに気軽に遊びに来てほしいですね。
ストイックな方ももちろんいらっしゃいますが、堅苦しく捉えず、遊び感覚で来て頂ければと思います。普段、ぼーっとテレビを見ている一時間を体育館に来て汗を流してもらって、気持ちよくなってもらえればと思います。
トレーニングルームだけでなく、体育館など貸し切りの予約が入っていなければ、個人利用(一人300円で制限なし)もありますので、近所の方を誘って「卓球しに行こうよ」という遊び感覚で来てほしいです。

ふとした瞬間に「あっ。今日、体育館に行こう。」と思ってもらえるように、皆さんの身近な存在になって欲しいです。気軽に体を動かせられる場としてご利用いただき、医者いらずの町になればと思います。笑顔で居てほしいですね!
健康でなければ笑顔で居られないので、笑顔をプレゼントできる場所にしていきたいと思います。

 

取材日:2018年7月27日