導入事例と採用側の想い

滋賀県立視覚障害者センター

滋賀県視覚障害者     福祉協会 会長 大橋 博様

設置場所:入口~研修室、歩行訓練室

バリアフリーについてどう感じていますか?

黄色の点字ブロックは大事かなと思っています。全盲だけでなくロービジョンの人、高齢者の人でも、黄色を頼りにすればいいと思っている方もいるので。ただ、その敷き方には問題があるかなと思うところがあります。あまりにもわかりにくいな。というところもありますし。

あとはね。段差。実はちょっとある方が分かりやすい。というのはありますね。
例えば、誰かのお家にお邪魔した際に、靴を履き替える場所が分からなくなるときがあるんです。フラットすぎると分かりにくいこともあるんです。なので、この施設ではトイレもちょっと段差をつけています。段差と言えばエスカレーターもそうですね。
エスカレーターの上り下りが分かりにくいです。段のところに黄色い線が入っているのとは入っていないのでも違いは大きい。入っていると、上り下りが分かりやすい。
JR東海辺りなら青いラインに進めばOKで黄色いラインだと進入禁止といった工夫をしているところもあるけれどね。

もう一つ、トイレの男女を間違えてしまうんですよね。場所が分からなくて。多目的トイレに誘導してくださる方もいるのですが、トイレ内が広くて逆にわからないんです。車いすや脳性麻痺といった障害を持っている方は広いトイレはありがたいとは思うのですが、私ら(視覚障がい者)にとっては小さいトイレのほうが分かりやすいんですよね。音声の誘導もあるのですが、肝心な場所を説明してくれるまでに時間がかかるのも難点ですね。

明るさについても、変に明るいと分からない。「明るければいい」というわけでは無いということを知ってほしいですね。ショッピングセンターの店内が明るすぎたり暗すぎたりするので、そこに、歩導くんがあったらいいかな。
最近のトイレ内は明るいんですけれど、明るすぎるとどこにトイレがあるのか分からないんですよね。トイレは白いし、壁も白いところが多いので分からなくなっちゃうんですよね。
あとは、ショッピングモールとかのトイレですかね。
中に入ってからくねくねして複雑だったり、鏡があったりすると、弱視の方ですと自分が写っていることに気付かないんですよね。どっちを向いているのか分からなくなるので足元に歩導くんのような目印があると良いですね。

色んな要望をお話しましたが、様々な障害を持った方もいらっしゃいますし、高齢者の方もいますし、一般の人でも使い勝手があると思いますし、難しいですよね。「バリアフリー」というのは永遠のテーマかもしれないです。

歩導くん ガイドウェイを導入してみていかがですか?

歩導くんは機器展で知りました。これは面白いなと思ったのを覚えています。

あらゆる障がいをもった方。例えば車いすとか、そういう人のことまで考えたところが嬉しいな。と感じました。うちのセンターでも機器展をやるから是非来てもらおうとなったのが最初です。
室内で硬い点字ブロックだと、台車とか配膳車がガタガタなっているのを見て、「気の毒だなぁ。こりゃ敵わんぞ」と思っていました。歩導くんであれば問題ないかなと。みんなが使えるというのが良かったです。

導入してみて、みんな喜んでいますね。分かりやすくて。
元々、トイレとかに行きやすい方法はないかという話はありまして、ホームセンターなどで売っているゴムのマットを購入して切って設置していたんです。それから、歩導くんを知りまして、「専用のものにしよう」となりました。あとは、県内で歩導くんを薦めて回る際に「そちらの施設には、(設置して)あるのか?」と聞かれたらかなわないですしね。まずは、自分のところからですよね。

先天性の視覚障がいの方は、仮に誘導が無くてもうまく歩かれる方が多いですが、昨今、中途の視覚障がいの方が多く、誘導を頼られる方も多くなってきています。また、いい訓練にもなっていると思います。頼って歩くという訓練で、自然と覚えていると思います。センターの中は、皆さんほとんど単独歩行されています。

施設に入ってきたときに、目の前に設置してあるのもいいですね。
ここは、福祉関係の方や行政の方もいらっしゃるので、「お。これ何ですか?」と関心を持って頂けますので、そこから、視覚障がいの方の話もでき、「さすが。視覚障がいの方が訪れる施設だな。」と施設に対しての印象も良く捉えて頂いております。
視覚障がいの方を理解してもらうための最初の入口としての機能を果たしてくれています。帰り際に見ている人もいるので、入口にあるのがいいですね。パンフレットだけを見るのと、実物が設置してあるのを見るのとでは全然違いますね。

また、6年先の琵琶湖(滋賀)国体の会場や、施設の備品についても検討段階に入るでしょうし、県庁も古い建物でして、建替えの際に「こういうものもあるよ」という提案はしていますね。カラーもたくさんあるし、施工も両面テープだから手軽やし。という話もしています。蓄光バージョンは、避難誘導にもなるよ。ということも伝えています。火事などの非常事態で煙は上に行くから、足元にあると逃げやすいよね。という感じで、視覚障害者だけでなくていろんな人に対してもメリットがあるよ。ということはお伝えさせてもらっています。

あとは、本センターに「歩導くん ガイドウェイ」という誘導マットが設置されましたよ。という情報はセンターの広報誌「星光」に掲載したりして利用者の皆様に連絡いたしました。なので、センターに来られた際には、誘導マットを踏みに行ったり触りに行ったりしてますね。「これならさらにいいね」「ロービジョン(弱視)の方も色があるから良く分かる」とのお言葉も頂いております。
本施設の利用者様が、「こういう製品があるなら自分が住んでいる市の福祉課に言ってみよう」と自ら発信もしてくれていますね。自分の施設に導入したことは正解でしたね。


入口から設置され、突き当りの壁で左右に分岐。
研修室と歩行訓練室まで誘導している。

今後、どのような活動をされて行きたいですか?

現在、障害者スポーツ協会の中で、体育館の利用やスポーツ施設の利用でガイドブックを作る作業をしています。いろんな意見がありますよね。体育館側の意見もありますし。先ほど言った問題を痛切に感じます。改めて考えさせられる部分が多いです。

これは大きなビジョンかもしれませんが、僕の将来的なビジョンとしては、神戸のアイセンターじゃないですけど、「医療・福祉・教育」が一貫された施設を県下にできないかなと思いますね。

中途失明者が多いんです。滋賀県だけで視覚障がい者が3200人(障がい者手帳保持者)います。その中で65歳以上が70%いるんです。生まれつきというのは25歳以下が7%以下で、その7%の人も重複障がいも含んでるんです。65歳以上で70%の中途失明者が社会復帰してもらうための場所をどうやって作っていくのか。実際に、行政サービスや社会復帰の場はまだ知らない人が多いんですよね。
眼科に行って、医者に「これから見えにくくなっていきますよ。」と言われた後、どうしていいのかわからず、5年以上行政サービスなどがあることを知らなかったという人も多いんです。

現状は、あっちに行ったりこっちに行ったり。振り回されている状態なんですよね。病院や訓練機関に行き来する間の時間がもったいない。人それぞれで見え方が違うので、一人一人に見合った支援をすることが必要であり、PCやスマートフォンなどを音声で使えるようにするために支援することが必要であると思います。重複障がいも含めて盲教育が必要だと感じています。

全体的に「目の悪い人」=「見えない人」という認識が強いのでそのあたりも考えを改めないといけませんね。正確には、「見えにくくなって、見えなくなる。」なので、「ちょっと見えにくいけど、まだ見えないわけじゃないから(視覚障害者福祉協)会に入りたくない。」という人も多いのが現状です。そういう人の声をもっと聴いていき、会の発展も大事だと思います。

障がい者の皆さんがもっと上手に使いやすいような社会になって行けばいいな。と思います。トイレ一つにしても、建物一つにしても、ちょっとずつ見直しされて来たらいいなと。

駅でも声掛けが多くなっていきましたね。ホームからの転落事故が増えているからですね。ちょっと見える人の方が危ないんですよね、実は。手引きする側も大事ですが、受ける側も「手引きのされ方」といいますかね。これも大事かなという気もします。昔からありますが、「全盲」と「弱視」という関係があって、「弱視」が「全盲」を手引きしているんですよね。水たまりにはまったら「また、はめよったぁ」と全盲側が怒るんですよ(笑)どちらかというと全盲の人が、先に段差に気づくこともあるんですよね。「全盲」と「弱視」で助け合っていたんですけど、最近は同行援護ができたので、
「手引きのされ方」が下手になっている気がするんですよね。人間とのつながりが欠けているようで少し寂しいですね。

晴眼の方が「お手伝いしましょうか?」といっても「大丈夫!大丈夫!」と言ってしまう人もいますよね。声掛けしてもらったら「ありがとう」という気持ちを出せないとあかんなと思います。私自身も声掛けを頂くことが多くなりました。ほんまに嬉しいことです。

 

取材日:2018年2月9日