導入事例と採用側の想い

東京大学 本郷キャンパス 総合図書館

ご担当者様

設置場所:1階 入口から受付、EV前 / 2階 EV前からトイレ、拡大読書機前まで

バリアフリーについてどう感じていますか?

2017年の4月から今の担当になったのですが、学内の各部署にいるバリアフリー支援担当というポジションと、今回の工事の関係の両方に携わってみて、まず最初に「これだと健常者には問題ないけれど、障がいがある方はどうか」という発想ができていなかったことに気付きました。
障がいをお持ちの方からご意見を聞いて、初めて知ることが多いです。

本学のバリアフリー支援室(※)スタッフは「将来的にバリアフリー支援室がなくていいようになること」を目標とするとよく話されています。「建物を作る」「授業を行う」など、障がいをお持ちの方もバリアなく参加できるものを、すべてのスタッフや構成員が、バリアフリー支援室のスタッフと同じ意識をもって作れるようにする。という発想から来ているのですが、まさにそれは重要な点だと感じています。

ご要望は、お一人お一人違います。例えば、車いすでもサイズも非常に小さいものから大きいものもあります。建物の通路の幅やエレベータサイズなど、条例などで基準もあるのでそれに準ずる必要もありますが、それだけでは足りないところがあるように思います。様々な情報を収集し、色んな方がいらっしゃるという前提で対応していかなければダメだなと感じています。

図書館の改修でバリアフリー対応の話になったときに、設計の方が「図書館にそもそも視覚障がいの方は来ないですよね?」と仰られたことがあったのですが、「いや。そんなことはないです。」というところからご説明をさせて頂きました。

また、歴史的な建物等が弊害になっている部分もあります。
本キャンパスで言えば、一部ですが、昔からの石畳が敷設されている道路がありまして、車いすどころかピンヒールで歩くのも厳しい箇所もありました。そこは要望を受けて道の一部(片側)だけ平らにするなどして改善をしています。

(※)東京大学バリアフリー支援室:http://ds.adm.u-tokyo.ac.jp/

歩導くん ガイドウェイを導入してみていかがですか?

現在(2018年3月時点)図書館の改修中でして、入口を本来の位置とは別のところに設けるにあたって、視覚障がいの方への工事期間中の一時的なご案内として、点字ブロックを探していたところ、前任者から引き継いだバリアフリー関係の資料に、歩導くんの資料が入っており、導入しました。

本学に在籍する視覚障がいの方のうち総合図書館を頻繁に利用されるのは1人~2人です。図書館の入口から、2階にある拡大読書機までと、その近くのトイレへの誘導のために導入しました。

事前に、弱視の利用者に、見え方や歩いた時の感触を確認してもらっており「わかります」という声を頂いております。全盲の方も、足裏から伝わる感触でラインがあるのはわかるとのことでした。図書館という空間もあるので、音声装置は付けていないため、全盲の方はトイレまでどうやって行こうか…。と思う所もあったようなので、トイレへの案内があるのはありがたいと話していました。

あとは、交差点の空間をあけるというのは、点字ブロックのルールとは異なるので、慣れないと分かりにくいというのがと本学のバリアフリー支援室からの意見です。

また、視覚障がいの方の助けになるだけでなく、車いすの通行の邪魔にならないことが重要だと考えています。図書館としても車輪のついたブックトラックがスムーズに通行できストレスが全くないので、点字ブロックと比べてこの点は非常にいいところですね。

車いすやブックトラックの通行に非常に勝手がいいので、改修工事後にも本設で「歩導くん ガイドウェイ」を導入したいと考えていたのですが、図書館の入り口までの誘導は、点字ブロックや点字鋲が基本であり、誘導の途中から素材などが変わらない方が視覚障がいの方はわかりやすいというご意見がありましたので、館内も点字鋲を敷設することになりました。
階段など、現在の法令で点字ブロックや点字鋲を付けなければならない部分が、「歩導くん」のようなマットでも構わないとなれば、一連をこの誘導マットで設置出来るなと思いました。
改修工事が終わりましたら、誘導マットは剥がして保管し、今後の活用を検討させていただきます。

「点字ブロックや点字鋲が基本」というのは、視覚障がいの方から上がったご意見だったのでしょうか?

視覚障がいの方から直接聞いたご意見ではなく、バリアフリー支援室からの指摘です。

本学では、以前、見やすくなるであろうと、黄色の点字ブロックの淵を黒色にしたことがあったのですが、視覚障がいの方から、黄色のほうがいいという意見が上がり、それから、学内では黄色点字ブロックが推奨されています。
新しい建物の中は、点字ブロックではなく点字鋲が設置されていたり、あまり目立たない色になっていたりしますね。設計時点で、意匠性を重視して、黄色い点字ブロックを敬遠するデザイナーの方もいます。

本図書館を利用される方は基本的に学内の方ですので、公共の施設というほど、不特定多数の方がいらっしゃるわけでもなく。最初に誘導マットについてご案内をさせて頂ければ、その後も使っていたただけると思うので、この誘導マットのメリットをどのように説明して、どういうものを選ぶのがいいのかは、これから考えていきたいところです。

 

今後、どのような活動をされて行きたいですか?

障がいをお持ちの方が来られると、こちらも「大変だ!どうしよう?!」って過剰にやってしまうところがあるので、落ち着いてお話を伺えるように、交流を深めていきたいですね。

手話の講習会や、障がいをお持ちの方との意見交換会をバリアフリー支援室が開催しておりまして、お話を伺う機会もありますので積極的に関わっていければ、初めて来館される方が来てもあたふたしないでコミュニケーションをとれるようになるのかなと思います。

私一人だけでは意味が無いので図書館としても情報交換をして知識を広めていきたいですね。本学の図書館のなかで、研修とかを自主的に立ち上げて開催するプロジェクトもありますので、今後は全学的にやっていけたらと思います。

 

取材日:2018年3月14日