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お客様の声

中山記念会館の写真 中山記念会館 公益財団法人 中山視覚福祉財団
常務理事 松前篤志 様
事務長 豊田恭郎 様
事務局 松山浩章 様

特定非営利活動法人 (認定NPO法人) 神戸アイライト協会
理事長 森一成 様
設置場所 1階 EV~トイレ~各室・カフェコーナー/2階 EV~トイレ~各室
兵庫県下の見えない・見えにくい方たちの希望の場所

兵庫県における視覚障害者支援の中核を担う中山記念会館。公益財団法人中山視覚福祉財団が所有する施設で、多くの支援団体・当事者団体がここを拠点に活動しています。同館は、2021年10月、現在の場所(神戸市兵庫区)に移転し、新しく広く生まれ変わりました。相談・講習・作業・交流・イベント等で見えない・見えにくい方が日々利用されています。オープンから半年後の2022年4月、館内を安全に移動していただくための誘導路として、1階と2階に「歩導くん ガイドウェイ」を敷設いただきました。

 

 

今回は同財団の松前様・豊田様・松山様、2階フロアで視覚リハビリテーションを中心としたさまざまな支援活動をされている認定NPO法人神戸アイライト協会の森様にお時間を頂戴し、各々の活動内容や誘導マット設置に関するお話を伺いました。

 

 

(以下、インタビュー内での話者の表記は敬称略とさせていただきます。)

理事長中山哲也氏の出生時の眼病が大きな公益事業へと花開く

Q:中山視覚福祉財団様の設立の経緯についてお聞かせください。

 

松前:当財団の理事長でありトラスコ中山株式会社の代表取締役社長である中山哲也が両目とも見えない状態で誕生したことに端を発します。後に片目は見えるようになったものの、両親は中山の面倒を見るために勤めていた会社を退職し、トラスコ中山の前身となる中山機工商会を創業しました。月日が経ち会社が大きくなってきた頃、母が自分たちの資産を福祉のために使えないだろうか、と中山に相談します。「よし、それなら全国でやろう」と当時の厚生省に働きかけましたが行政の厚い壁に頓挫。それから間もなくの1995年、阪神淡路大震災が発生しました。当時兵庫県芦屋市に住んでいた中山は、自分の家も大変な中、今度は兵庫県に「視覚障害者の財団を作りたい」とアタックします。ここでようやく承認が降り、1997年、財団法人中山視覚障害者福祉財団ができました。

 

 

Q:では主な事業内容について教えてください。

 

松前:公益事業1・2・3とあって、1は中山記念会館の施設貸与事業です。会館をいろいろな団体さんに使ってもらっています。公益事業2は、当事者団体・支援団体に年間いくらかのお金を出して活動資金に充ててもらう助成金供与事業と、視覚障害の大学生・大学院生を支援するための奨学金無償給付事業です。公益事業3は、6つの事業があります。1点目は視覚障害の音楽家を支援する音楽祭事業、2点目は日本ライトハウスさんと兵庫県盲導犬協会さんにそれぞれ年間1頭ずつ盲導犬の育成を委託している盲導犬貸与事業で、これまで累計45頭を貸与してまいりました。3点目は神戸アイライト協会さんに委託しているパソコン講座事業、4点目はプロの音楽家のコンサートに視覚障害の方を無償で招待する音楽公演事業、5点目は、こちらも神戸アイライト協会さんに委託している同行援護従事者養成事業、6点目は、視覚障害の方に映画を楽しんでいただくためのバリアフリー映画上映事業です。

 

Q:会館はどれぐらいの団体に貸与されているのでしょうか?

 

松前:現在この建物に入居されているのは7団体です。他に活動場所だけ貸してほしいという複数の団体に共同事務所を提供しています。移転前の古い建物では入居していなかった兵庫盲ろう者友の会さんと兵庫盲導犬協会さんが、隣同士の事務所になったことで、先日盲ろう者さんのための盲導犬体験会を開かれました。こういうことができるのも新しい団体さんが入ってくれたおかげですし、本当に良かったと思っています。

大阪・京都に遅れを取る兵庫の視覚リハにたったひとりで挑戦

Q:アイライト協会様を立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?

 

森:1999年から始めました。震災当時(1995年)私は盲学校の教員でした。被災者となった視覚障害者はいろんな困難がありましたが、中でも歩くのが困難になりました。道路環境が一変し、家も住めなくなり避難所や仮設住宅に移り住み、それまで単独で歩けていた人も歩けなくなったのです。全国から歩行訓練士が指導に来てくれましたが、ボランティアなのでほんの短期間しか滞在できません。彼らが引き上げた後、引き受ける団体が神戸にはまったくありませんでした。大阪・京都には日本で歩行訓練士が生まれた1970年頃からそういう事業があり、自宅まで教えに来てくれる人が何人もいたのに、兵庫・神戸にはないのです。私自身、歩行訓練士でもありましたので、以前から何とかしたいと思っていましたが、震災をきっかけにいよいよ始めなければ、と思うようになりました。

 

 

Q:そこから現在に至るまでと、今の主な活動内容について教えてください。

 

森:最初は自宅を事務所に、ひとりで訪問の歩行訓練をスタートしました。しばらくして視覚障害者の間に音声パソコンが広がりだした頃、講習会をしようという機運が高まり、当時の財団の常務理事さんが、アイライトに講習を委託する決断をしてくれたのです。その後、普段から日常的にパソコンを勉強したいという要望があり通所施設ITファームを作りました。他のボランティア団体さんも活動場所を探しているというのもあって、中山財団さんから資金面での支援をいただき、2006年にITファームとボランティア団体さんの共同事務所ができました。2007年には中山財団さん、神戸アイライト協会、共同事務所で一緒に活動していたボランティア団体さんが入る会館(=移転前の中山記念会館)ができました。また神戸市からも翌年から、視覚専門相談事業に初めて予算を付けていただき、スタッフも少しずつ増えていきました。

 

現在は、ロービジョンや視覚障害に関するご相談の受け付け、IT機器やロービジョン用具の紹介と使い方の指導、白杖を使った歩行訓練などの訪問サポート、作業を行う通所施設の運営、視覚障害者ガイドヘルパー養成研修等のさまざまなイベントの開催、ガイドボランティアの派遣などを行っています。ですが神戸市の事業、予算の見直しにより、2021年度から業務委託費が大幅な減額となったため、非常に厳しい状況に直面しています。

目で見て歩くロービジョンの方にこそ目印となる動線が必要

Q:誘導マット「歩導くんガイドウェイ」を導入いただいた経緯についてお教えください。

 

松前:建築の設計段階では入口付近の最低限の場所に点字ブロックを設置して、それ以外は状況を見ながら森さんと相談しようという感じでした。なのでその時点ではどこのどういう製品を付けるとかも考えていなかったのですが、Yさん(弊社営業)が頻繁に顔を出してくれるものだから。何となくこれを付けないと、と思い始めましたね(笑)。

 

でも、良く来てくれたおかげで歩導くんのことを認識できたし、後から簡単に工事ができるというのもわかって、今では感謝しています。

 

Q:設置後の状況はいかがでしょうか?

 

森:ロービジョンの方が特に喜んでおられます。視覚障害者用施設では、全盲の方は壁を伝ったり手すりを伝って歩かれるので、建物自体が使いやすいのが一番です。建築デザインの方ともそれを優先して話し合いました。ただロービジョンの方はそういう触る歩行はされません。目で見た感じで歩かれるのですが、床面と壁が同系色のため壁の変化がわかりにくい、というのがありました。利用者はロービジョンの方が多いですし、目印になるように豊富なカラーバリエーションの中からブルーを選んだところ、トイレの曲がり角がわかりやすくなったと喜んでもらえています。

 

 

Q:誘導マットが無い状態の時と比べてお役に立てているようで良かったです。

 

森:(無い状態に)少しずつ慣れてきている利用者もいましたが、歩きにくい中なんとかやっていた感じです。設置後は、はっきりわかる動線ができて安心して歩かれています。それに毎日来られる方ばかりではなく、初めての方、ときどき来られる方にとっては、よりありがたい設備です。

 

最初は2階にだけ提案いただいていたのですが、1階にもカフェコーナーや大会議室があり、視覚障害者が単独で移動することも想定されましたし、1階のトイレは奥まったところにあるため、松前さんにご相談して1階にも設置していただきました。以前はガイドの方でもトイレがわかりにくいという声もありましたが、誘導マットを辿っていけるようになり、トイレまで迷う方が減ったと思います。

 

これからの中山記念会館・神戸アイライト協会

Q:最後に今後の目標、あるいは夢をお聞かせください。

 

松前:視覚に障がいのある方が、もっと会館に訪れてくれたらいいですね。兵庫県内の視覚障害者は現在17,000人ぐらいと言われています。(森:手帳を持っていない方を推計すると5万人ぐらいいるかもしれません。)そういう人たち皆さんがアイライト協会さんに相談に来てほしい。もしそれで場所が狭くなったら、会議室として1フロア空けている4階を用途替えして活動拠点にしてもらって構わないんです。ロービジョンになっても、その先はあると知ってもらい、希望が持てるようになってほしい。兵庫県でこういう場所があって、相談できて良かった、そう言ってもらえるようにしたいと思います。

 

森:財団さんと同意見です。いつでも来てくださいと言えて、すぐ繋がってサポートできるのが望ましいですし、財団さんが仰った理想の形に進めれば良いと思います。そのためには、行政の方のお力も必要ですので、ぜひご理解をいただきたいですね。

 

取材日:2022年8月23日

 

公益財団法人 中山視覚福祉財団様HP
http://www.nakayama-zaidan.jp/

 

特定非営利活動法人(認定NPO法人)神戸アイライト協会様HP
https://eyelight.eek.jp/index.shtml#r

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