導入をお考えの方へ
バリアフリーについて、いかにも日本人らしいと思うのが、「ルール」とか「指針」とか、これをベースに話が進むところがあります。例えば、福祉のまちづくり条例とか。
以前よりは本質的なところに来ているとは思うのですが、「ルール」や「指針」があると、採用側はそれをクリアするためだけにやるんですよね。「その人たちのために」ではなくて。特に大学側が十分にバリアフリー化をしないというのは、対象が「不特定多数」だからだと思います。すべてを賄おうと思うと、ものすごく労力もコストも掛かってきてしまうので…。
だからと言って、必要最低限やるというのは、採用側も使用側もお互いに不幸だと私は思います。あとは、もっと人の力で困っている人を助けるようにしないといけないのではないかと感じています。
当事者にも健常者の方にも使用いただいております。
突っかかる方も居るかなと思ったのですが、いらっしゃらないですし、広いゲートからジュースのベンダーの方も来ますが、台車もストレスなく通行しています。
仮設から常設にするため、一時的にマットを設置していない期間がありまして、その期間中に学生が来館されましたが、その時は全く駄目でした(方向を見失っていた)。「歩導くんがあるのとないのでは全然違う」と話していました。歩導くんが設置されてからは、一人でセンターに足を運んでいます。
また、晴眼の方も出口を間違われる方が多くいらっしゃるので、入口と出口のマットの色を分けることによって、間違われる方が減りました。未だに間違われる方も居らっしゃいますが、その際に受付の方も「出口」と説明するより「緑のマットのほうへお進みください」と説明するようになりました。
茶色の誘導マットが、入口~入口ゲート~拡大読書機の専用席への誘導
緑色の誘導マットが、出口への誘導
施設に対してどこまでサービスを向上させるかですね。
全部をやろうと思うと、あまり現実的ではないですし。アンテナを張り巡らせて、周りの意見を聞いて、それに見合ったものを見つけて導入するか即断をしなければならないので。採決を待っているうちに、次の新しいものが出てきてしまいますし。多様化してるので、なかなか難しいところもあるんですけれども。
特にこのキャンパスは、研究教育活動がものすごく多岐にわたっているので、それを全部満足させることは不可能ですし、「この領域はやるけど、この領域はやらない」という選択がしにくいんです。それを今後どうしていくのか。最大公約数が作れるのかどうかが課題と感じております。
取材日:2017年9月12日