一般的に誘導路といえば、航空機が地上を進むときの移動ルートを思い浮かべるかもしれません。
福祉の世界では、主に視覚障害者の移動支援のために地面や床面などに設置する道しるべを誘導路と呼びます。
視覚障害者用歩行誘導マットは、建物の床面に設置する屋内専用の視覚障害者誘導設備です。表面に突起がなく、マットの周囲は約3.5°のなだらかな傾斜のためつまずきにくく、多様な人が共存できるユニバーサルデザインとなっています。視覚障害者は、白杖で叩くときの音の違いや質感、足裏から伝わる感触で認識できるほか、豊富なカラーバリエーションの中から床とのコントラストが高い色を選んで設置することで、弱視・ロービジョンの人たちが目で見て確認することもできます。
点字ブロック(正式名称:視覚障害者誘導用ブロック)とは、視覚障害者を安全に誘導するために設置されているブロックやシートの総称です。白杖や足裏の触感で認識できるよう、表面に突起がついていて、突起の高さや配列についてはJIS規格で定められています。点字ブロックには誘導ブロック(線状ブロック)と警告ブロック(点状ブロック)の2種類があり、誘導ブロックは歩く方向を示す「すすめ」の用途で、警告ブロックは危険箇所や停止位置を示す「とまれ」の用途で使用されます。
点字鋲とは、誘導マットや点字ブロックのようなプレート形状とは異なり、床に直接穴を開けて鋲を埋め込むタイプの視覚障害者誘導設備です。ステンレス製の鋲が一般的で、点字ブロックと同様、「すすめ」を表す線状鋲と警告を表す点状鋲があります。意匠性にすぐれていることから景観を重視する施設やその敷地一帯で使われることが多いものの、鋲の種類や周囲の環境によっては床との違いがわかりづらくなります。