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インタビュー

オレンジ色の点字器を手に持ち、微笑んでいる亀山様の写真。

図書館機能にとどまらず
視覚障害者情報提供施設として
当事者の生活を広くサポート

社会福祉法人和歌山県身体障害者連盟点字技能士 亀山直美様

県民交流プラザ・和歌山ビッグ愛の5階に入居している和歌山県点字図書館は、和歌山県が設置し、社会福祉法人和歌山県身体障害者連盟が管理・運営している点字図書館です。
こちらにお勤めの点字技能士で、視覚障害当事者でもある亀山様にお時間を頂戴し、お仕事や日常生活についてのお話を伺ってまいりました。

 

※亀山様には、県民交流プラザ・和歌山ビッグ愛に設置されている誘導マットについても別途お話を伺っています。ぜひこちらも併せてご覧ください。

 

〈お客様の声〉の該当記事はこちら。
https://guideway.jp/okyakusamanokoe/big-ai/

 

亀山様インタビュー後の記念撮影。インタビュアーの3人と、インタビュイーの亀山様が4人で並び、それぞれ誘導マットを体の前で持っている。

 

 


 

(以下、インタビュー内での話者の表記は敬称略とさせていただきます。)

本の貸出以外だけでなく、さまざまな情報を提供

Q:お勤めされている、点字図書館の仕事について教えてください。

 

亀山:点字図書館の業務は、点字の本を貸し出すだけではありません。名称で誤解されがちですが、視覚障害者情報提供施設として、目が見えない・見えにくくなった方向けの給付制度の説明など、生活を豊かにするためのさまざまな情報提供を行っています。ですので、眼科で目の障害と診断された際に、点字図書館へつなげていただきたいと思っています。

 

また、ボランティアさんによる本の読み上げ(対面朗読)、録音図書の貸出、郵送による貸出など、点字がわからなくても本を楽しめるようなサービスもあります。

 

その他にも、日常生活に役立つ道具の販売、カレンダーの郵送、選挙公約の点訳版作成・配布など、業務は多岐に渡ります。

 

私の場合は当事者ならではの視点を活かし、実際に用具を使ってみた感想を業務に活かしたり、点字の学習方法などでも協力しています。自分の知識や経験が役に立つので、とてもやりがいを感じています。
自分が苦手とする業務ももちろんありますが、周囲にフォローしてもらって勤めています。ただ、全国的に見ても視覚障害当事者が働いている点字図書館は2~3割程度だと思います。

 

点字用紙の説明をする亀山様と、実際に触って印字を確かめるインタビュアー。

 

 

Q:点字図書館で働く中で、どのような問題を感じていますか?

 

亀山:小学生など、小さい時に目が悪くなった人は点字図書館に来館してくれるのですが、大人になってから病気等で視力を失った方(中途失明)は、点字を覚えることに抵抗がある方が多いように感じます。点字を読むのは編み物と一緒で、繰り返しの練習が必要で根気が必要です。誰かに点字で手紙を書きたいなどの目標がなければ「他のもので代用しよう」となりがちです。
そのため、点字を学ぶ機会を増やすために、点字の学校や習い事がメジャーになってくれると良いなと思います。

 

 

Q:視覚障害者の主な進路について教えてください。

 

亀山:視覚障害者の主な進路としては、盲学校(視覚特別支援学校)に併設されている理療科(あん摩・はり・きゅうの技術を学ぶ学部)、大学進学、視覚障害者を受け入れる専門の就労施設(就労継続支援A型、B型)、公務員試験などがあります。

 

私は大学に通った後に普通に就活をして、今の職場で採用いただきました。
視覚障害者も晴眼者も同じで、基本的には働かないと暮らせません。収入がないと困るので働くのが普通です。もちろん、様々な理由で働けない方もいらっしゃいます。

横断歩道にはエスコートゾーンを付けて欲しい

Q:日頃の生活で苦労すること、社会環境の整備で足りないと思うことはありますか?

 

亀山:夜間に横断歩道に飛び出してしまうことがあります。点字ブロックがあっても、交差点の存在を認識できずに歩幅が大きいまま歩いていると、気が付かずに点字ブロックを飛び越えてしまうことがあります。また午後8時以降は音響式信号機の音が消えてしまうので、特に不安です。

 

横断歩道関連はもう一つあって、エスコートゾーン※が設置されていないと、意図せず斜めに進んでしまうことがあり怖いです。最近の車はエンジン音が静かで存在感が薄いので、音を頼りに横断することも難しく、不安が大きいです。

 

音響式信号機のない場所や音が鳴らない時間帯の場合、自分の横を車が走っているときは道路を渡らない、なるべく午後8時以降に出歩く用事を作らない、もしもの時はタクシーを利用するなどを心がけていますが、車通りが少ない道路の方が事故は起こりやすいと思います。
私はまだ使ったことがありませんが、最近では信号の色を判別するスマホアプリもあるので、今後はそういう手段も拡がっていくかもしれません。

 

※補足:エスコートゾーンについての解説はこちら

※補足:音響式信号機についての解説はこちら(外部サイトへリンクします)

 

亀山:それからもう一つ、PDFファイルにとても困っています。資料を配布する際、改変防止の観点からPDFファイルを使用することが多いと思いますが、テキストデータではなく画像で貼付けられているPDFファイルの場合、音声認識が使えず、内容が分かりません。
国や公共交通機関に要望する際は、「視覚障害者用に配布するときは代替措置としてテキストデータをフォーマットにしてほしい」とお伝えしています。

 

またパソコン関連だと、画像認証もなるべく使わないでほしいです。どうしても使わざるを得ない場合、容易に利用できる音声認証などを代替措置として用意してほしいです。

 

 

Q:点字ブロックについてはどうお考えですか?

 

亀山:点字ブロックの数が多ければ多いほど良いとは限りません。必要なところにだけある方がわかりやすくて良いと思います。
和歌山駅周辺の話になりますが、警告ブロックのみが設置されていて、目的地まで点字ブロックが続いていない場所が多く、現在地が分からなくなってしまうことがあります。点字ブロックは適切な場所に適切な数だけあってほしいです。でも大事だと思う基準は当事者によって異なるので、一律では定めにくいですね。

 

テーブルの対面に座り、笑顔で会話する亀山様とインタビュアー3人を、インタビュアーの後ろから撮影した写真。

Q:晴眼者(視覚に障害のない人)の方へお願いしたいことはありますか?

 

亀山: まずは点字ブロックについて知ってほしいです。点字ブロックは視覚障害者にとって、安全に歩くためにとても重要なものです。点字ブロックの上で立ち止まったり、自転車を駐輪しないよう、意識してもらえるとありがたいです。

 

 

Q: 今後、社会がどのように変わってほしいと思いますか?

 

亀山:点字がもっと一般的になってほしいですね。点字を習いたいと思った時に、すぐに習いに行けるような施設や塾、講師派遣などが増えてほしいです。目が悪くなった時に文字を諦めるのではなく、「じゃあ点字を習おう」と思えるような認識が、社会全体に広まってほしいです。字を書くことは生きることだと思います。

 

 

Q: 「字を書くことは生きること」、素敵な表現ですね。

 

亀山:「字を書くこと」は、自分の考えたこと、覚えておきたいこと、手に入れた情報、残しておきたいものを、自分の言葉で相手に伝わる形で表現する「アウトプット」です。文字で残したり、形に残したりできることは、すなわち「生きること」だと思います。

 

テーブルの対面に座り、笑顔で会話する亀山様とインタビュアー3人を、側面から撮影した写真。

 

取材日:2024年12月9日

 

和歌山県点字図書館HP
https://wakaten.jp/

社会福祉法人 和歌山県身体障害者連盟HP
https://washinren.jp/

 

取材の少し前になりますが、2024年12月5日に和歌山県庁で「紀の国チャレンジド賞」の表彰式が行われ、亀山様が自立更生者賞を受賞されました。おめでとうございます!

また、亀山様はWBS和歌山放送にて配信されている「亀山直美の、ごきげんよう」という番組でパーソナリティを担当されているそうです。毎月第2日曜日に配信とのことで、こちらもぜひ一度お聞きください。

 

 


 

 

※この記事は、錦城護謨(株)と産学連携している近畿大学経営学部 山縣正幸ゼミ16期生の皆様にインタビュアーを務めていただきました。
山縣ゼミでは、「企業発展」「価値創造」をキーワードとしてさまざまな企業活動を研究されています。

 

近畿大学経営学部 山縣正幸 教授
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/design-creative/researcher_detail_09.html

山縣ゼミ16期生のInstagram
https://www.instagram.com/yamagata_semi16th/

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