知る・役立つ
視覚に障害のない人。見えない・見えにくいことで日常生活に何らかの支障がある視覚障害者に対して、見えている、もしくは見えにくい視力であっても眼鏡やコンタクトレンズなどを使用することで、日常生活において見え方の困りごとがない人のことを指す表現。
視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱などの障害・症状を2つ以上併せ持つ重複障害のうち、視覚とその他の障害を有する状態のこと。近年の視覚特別支援学校(盲学校)では、生徒数の減少に反比例して重複障害児童の割合が増えており、中でも視覚と知的に障害のある児童が多いことから、教育の在り方も変化が求められています。また視覚と聴覚の重複障害である盲ろう者は、すべての方が全盲ろうということではなく人によって見え方・聞こえ方はさまざまです。
見え方に何らかの問題を抱えている状態。視覚障害や弱視とも同じ意味で使われることがありますが、視覚障害には、まったく見えない全盲と見えにくいロービジョンが含まれます。弱視はロービジョンとほぼ同義であるものの、医学的には誕生から数年間の成長段階で視力が十分に発達しなかった場合の低視力を表します。すなわち見えにくいことで、生活上の困難が生じているのであれば、発症の時期・要因・症状を問わず、ロービジョンと言えるでしょう。
両眼の視力がまったくなく、光も感じない状態。したがって目から入ってくる情報はいっさいありません。ただし、明暗の識別ができる「光覚弁」と、目の前で手を動かした様子がわかる「手動弁」が、厚生労働省の基準で「失明」に含まれるため、これらの見え方であっても、広い意味で全盲として扱われるケースもあります。なお全盲には先天性・後天性がありますが、失明は後天的な場合にのみ使われるのが一般的です。
目や脳の視覚を司る機能に障害があり、見えない・見えにくい状態。見えにくい状態とは、眼鏡をかけたり投薬や手術を行っても視力や視野が改善されず、日常生活に何らかの支障を生じるような見え方のことです。身体障害者福祉法の規定により障害者手帳の対象となるのは視力と視野だけですが、色の判断がしづらい色覚障害や光の感じ方をうまく調節できない光覚障害など、さまざまな見え方の問題を包含して視覚障害とする場合もあります。
視覚障害者、特に全盲の方にモノの位置を伝えるための手段。アナログ時計の文字盤に見立てる説明方法で、位置関係としては、当事者から見て手前が6時、正面奥が12時、右側が3時、左側が9時となります。例えば、食事のときにテーブルの上の料理の位置を、「7時の場所にご飯、5時の場所に焼き魚、10時の場所に……」という感じです。また、「約10メートル進んだ先、2時の方向に受付があります」といったふうに、広い空間でも活用できます。
会社で働く従業員の疲労回復や健康管理のために、施術・治療を行う人。企業内理療師とも呼ばれ、「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」の国家資格を持つ人が、その職務に就きます。視覚障害者の代表的職業でもある、この三療という仕事は、これまで自宅での開業もしくは自営での出張サービス、あるいは治療院・医療機関・福祉施設への就職が主でしたが、近年はヘルスキーパーとして勤務する人も増えています。
元々は「近づくことができる」という意味のアクセシビリティ。転じてウェブアクセシビリティは、誰もがウェブの情報にたどり着けることを意味します。見えない、聞こえない、手を動かせないなどの障害がある方だけでなく、年齢や外国語の理解、利用環境によっても差が生じないよう、すべての人が均等にウェブで提供されるサービスや情報を利用できるようにしよう、という考えです。
病気や事故で目が見えない・見えにくい状態になった人が、元の生活に近い状態を取り戻し、自立できるようにするための支援や訓練。視覚に頼っていた人が視覚障害になると、多くのことが難しくなったりできなくなったりします。そこで、専門家による指導やサポートを受け、視覚以外の身体機能や残存する視機能、あるいはIT機器や補助具などを活用しながら、歩行・読み書き・家事・仕事などができるようになることを目指します。略して「視覚リハ」と言います。
街でパートナーと歩いている盲導犬は仕事の最中です。やってはいけないことを知って安全な移動にご協力ください。「声をかけたり口笛を吹いたりしない」「目を合わせて気を惹く行動をしない」「さわらない」「食べものを見せたり与えたりしない」 反対にやってほしいこともあります。まずは盲導犬の視界の外から静かに見守ってください。そして信号のある場所や、道に迷っている様子が見られたら、視覚障害者にお声がけをお願いします。
日本では、2023年3月31日現在で836頭の盲導犬が実働しています(※)。ですが盲導犬を希望している視覚障害者はおよそ3,000人とみられており、まったく足りていません。英・米・仏などの諸外国と比べてもかなり少なく、さらに2009年をピークに年々減少傾向にあります。減少理由はいくつかあると考えられますが、盲導犬1頭の育成にかかる費用は5~600万と言われており、そのほとんどが寄付でまかなわれていることから厳しい現実が見えてきます。
(※)社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会・自立支援施設部会盲導犬委員会報告書
不特定多数の人が利用する施設は、盲導犬の同伴を拒否してはいけません。これは身体障害者補助犬法、および障害者差別解消法で定められています。補助犬とは、盲導犬・介助犬・聴導犬の総称です。身体障害者補助犬法では、施設側への受け入れ義務だけでなく、訓練事業者に質の高い補助犬の育成を、ユーザーには予防接種や定期健康診断などの健康管理、ブラッシングやシャンプーなどの衛生管理、適切な場所での排泄といった行動管理を義務付けています。
盲導犬の生涯には5つの節目があります。まずは誕生。盲導犬候補として生まれた子犬は2ヶ月ほど母犬や兄弟と一緒に過ごします。その後パピーウォーカーと呼ばれるボランティアのご家庭に10か月ほど預けられます。ここで人間と暮らす楽しさを覚え、人間への信頼を育んでいきます。続いて訓練期。盲導犬育成団体の施設で、盲導犬として必要な訓練を受けます。試験に合格したら、のちにパートナーとなる視覚障害者のユーザーと一緒に共同訓練も行います。いよいよ実践。ユーザーの家で共同生活をしながら、いろんなところへお出かけします。そして引退。10歳ごろを目安にユーザーの元を離れ、ボランティアの一般家庭でゆっくり過ごします。
視覚に障害のあるユーザーと一緒に外出し、移動の手助けをしてくれる犬。仕事中はハーネスという白い胴輪を付けます。ハーネスの背中部分にあるハンドルを通じてユーザーは盲導犬の動きを感じ取ります。行き先はユーザーが指示をするので盲導犬が自分の意思で誘導するわけではありません。歩行中に障害物・曲がり角・段差があればユーザーに伝えて、安全に導くのが役割です。視覚障害者の行動範囲を広げてくれる大切なパートナーなのです。
日本で唯一の視覚障害者・聴覚障害者のための大学です。所在地は茨城県つくば市。視覚障害の学生が学ぶ春日キャンパスと聴覚障害の学生が学ぶ天久保キャンパスがあります。視覚障害の学生は、保健科学部で鍼灸・理学療法・情報システムを、聴覚障害の学生は産業技術学部でデザイン・情報科学・建築・工学系のいずれかを専攻します。大学院にはもうひとつ情報アクセシビリティの専攻課程があり、ここだけは視覚と聴覚に障害の無い人も入学可能です。
略称「国リハ」。埼玉県所沢市にある、日本の障害者リハビリテーションの中核を担う国の機関です。組織は、総合的リハビリ医療を提供する病院、リハビリ技術・福祉機器の研究開発を行う研究所、リハビリ専門職の育成を行う学院、障害者の自立と社会参加の支援を行う自立支援局、管理部、企画・情報部の6部門で構成されています。その他の地域にある自立支援局の施設でも、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援などを行っています
視覚に障害のある児童・生徒のための学校です。一般的に幼稚部から高等部まで、年齢に応じた教育が行われます。支援機器を用いたり、点字や白杖歩行などを学ぶ他は、普通学校の教育内容と変わりはありません。違う点として、高等部理療科があるところでは「鍼・灸・あんまマッサージ指圧」の国家資格取得を目指す大人の方も入学されます。以前は盲・聾(聴覚障害者)・養護(知的障害者)の3つの学校に分かれていたのが、2007年4月から複数の障害種別を一本化できる教育制度に移行されました。そのため視覚特別支援学校などの名称に変わった学校もありますが、視覚障害の生徒のみが在籍する学校では現在も盲学校の名称がそのまま使われています。
65歳以上の視覚障害者が入所する施設です。老人福祉法の関連基準では、視覚もしくは聴覚に障害のある入所者が定員の7割を超える施設、とされています。一般の養護老人ホームと比べて、見えない・見えにくい人のための環境整備が充実しており、職員の中にも視覚障害に対する専門知識を持った方がいて安心です。また、同じ障害を持つ人同士なので心が通いやすいという利点もあるようです。2021年10月の厚労省の報告によると、全国の施設数は52軒となっています。
災害などで自宅に住めなくなった人たちは、一時的に避難所で生活をすることになります。その際、障害者・高齢者・乳幼児その他の特別な配慮が必要な人たちは、一般の避難所では生活するのが難しい場合があります。そのため配慮が必要な要配慮者を受け入れるための施設について、災害対策基本法や内閣府のガイドラインで規定されました。これを福祉避難所と言います。安全に生活できるよう、主に老人福祉施設や障害者支援施設などのバリアフリー環境が整った施設が使用されます。
障害者差別解消法に記載のある禁止事項です。行政機関や事業主が、正当な理由なく障害のある人と障害の無い人への対応に差を付けて、障害のある人にだけ理不尽と思えるような言動や要求をすること。例えば、何らかのサービスを提供する際に、障害者だからという理由で、サービスの提供を拒否したり、サービスを受けるための特別な条件を付けたり、時間や場所などの制限を設けたりすることなどがこれに該当し、いずれも許されません。
障害のある人は、日々の暮らしの中で「難しいな」「大変だな」と感じる場面があります。これを周りの人のサポートや環境整備などによって解消しようとするものです。障害者差別解消法では、役所や企業が負担になりすぎない範囲で、障害者からの求めに応じて何らかの手立てを講じるよう示されています。当初は国や自治体のみが法的義務の対象でしたが、法改正により、2024年4月1日からは、民間企業も努力義務でなく法的義務の対象となります。
正式名称「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」。高齢者や障害者が外出で困らないように、街や交通機関、建物の中などを移動しやすくするための法律です。たとえばこの法律の施行令第21条では、視覚障害者が建物内で円滑に移動できる経路について定められています。第2項には円滑に移動できるようにする方法として、点字ブロックや音声その他の方法が記載されています。誘導マット「歩導くん ガイドウェイ」は音声その他の方法として認められています。
正式名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律」と言い、障害者の職業の安定を図ることを目的とした法律です。企業や国・地方公共団体などの事業主が一定の割合で障害者を雇用する義務、障害者が自立して仕事に就けるよう職業訓練や職業紹介を行う機関の設置、障害を理由とした差別的な行いの禁止と障害特性に応じた配慮などについて定めています。この法律は制定以来これまで何度も改正されてきました。当初は身体障害者のみでしたが、1998年に知的障害者、2018年に精神障害者が対象となりました。事業主に義務付けられている雇用率(法定雇用率)も度々変遷し今後も段階的に引き上げられることが決定しています。
正式名称を「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」と言います。2016年に施行された比較的新しい法律で、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」が定められました。適用範囲は役所や会社・お店などですが、もちろん法律の対象でないからといって個人が障害者に差別的な態度を取ってよいわけではありません。この法律の本来の目的は、障害があってもなくても互いに尊重し合いながら共生する社会を目指す、ことです。
街で白杖を持った人を見かけたら、「困ってないかな」「危険がないかな」と気にかけつつ見守ります。困ってそうであれば正面から「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてください。そして半歩前に立って、肘か肩につかまってもらいましょう。ただし困っている様子はなく、スタスタと歩いている方には声をかけず見守るだけにします。一方、危険が迫った状況では、「そこの白杖の方、止まって!!」とはっきり伝えてください。また、白杖を持った人の横を自転車で通り過ぎるときは、十分な距離を取るか、自転車を降りて押していくようにお願いします。白杖が自転車に接触すると、杖が折れたり転倒する危険があります。
初めて白杖を購入するとき、いったいどこで買えばいいのでしょうか。インターネットでも販売されていますが、まずは自分に合ったサイズや形状を知る必要があります。それに白杖は厚生労働省の定める補装具に含まれているため、市町村に申請することで公費負担が受けられます。そうしたことを理解するために、視覚障害者リハビリテーションや生活相談に対応されている地域の支援団体をお尋ねすることをお薦めします。補装具の申請方法や購入後の正しい使い方などを丁寧に教えてくれるでしょう。
白杖にはいろいろな種類があります。たとえば、杖の本体部分(シャフト)の形状の違いで分類すると、真っ直ぐ1本の直杖式、携帯用に収納しやすい折り畳み式、同じくスライド式があります。他には、杖の先端の少し膨らんだ部分(石突:いしづき)の形状によっても分けられます。杖の形と同じ棒状のスタンダードタイプ、きのこのかさに似たパームチップ、路面をコロコロと転がすローラーチップなど。またシンボルとしての役割に特化した白杖(IDケーン)もあります。
白杖利用者は全盲の人、と思い込んでいませんか? もちろん全盲の人が白杖を利用するケースは多いのですが、全盲ではないけれど見えにくい、低視力や視野欠損の視覚障害者も多数います。また眼球使用困難症の人や、聴覚障害や肢体不自由の人たちが持っている場合もあります。ですので、白杖利用者が電車の中で本を読み始めたとしても障害を詐称している、とは思わないでください。ただし道路の通行に著しい支障のない人が白杖を利用することは法令で認められていません。
はくじょう、と読みます。主に視覚に障害のある人が歩くときに使用する白い杖のことです。盲人安全つえとも言います(身体障害者福祉法ではそのように記載)。機能としては、①周りの人に視覚障害の人かな?と気づいてもらう(シンボル) ②ダイレクトに障害物にぶつからないよう身を守る ③杖の先で路面を探ったり叩いたときの反響音を聞いて周囲の状況を把握する、といった3つの役割があります。白杖については他にも情報がありますので、関連項目も併せてご覧ください。
ひとりで外出するのが難しい視覚障害者のために、介助者が一緒に行動して移動や読み書きなどのサポートをする福祉サービスです。主な支援内容は、歩行時の誘導、安全の確保、視覚情報の提供、代読・代筆など。介助(ガイドヘルパー)の仕事をするには「同行援護従業者養成研修」を受けて資格を取得しなければなりません。視覚障害者にとって大変ありがたいサービスなのですが、1ヶ月の利用時間や同行援護事業所の数に地域差があったり、通勤・通学に利用できないなど、課題もあります。
視覚障害者がひとりで外出できるようになるための訓練。白杖の正しい使い方、道路の安全な歩き方、電車やバスなどの乗り降りの仕方などを必要に応じて学びます。また通勤や通学といった決まった目的地までの移動を集中的に訓練するケースもあります。全国各地の歩行訓練士が所属する機関で実施しており、「入所」「通所」「在宅(訪問)」などさまざまな形態があるので、まずは相談してみるのが良いでしょう。併せて他の自立訓練(生活訓練)を受けられる場合もあります。
誰もが生活しやすくなるように、社会の中にある障壁を取り除くこと。障害者や高齢者、ベビーカーを押している人にとって移動しづらい場所があったとします。そこにスロープを付けたり、手すりを付けたり、エレベーターを設置したり、あるいはもっと大掛かりな工事をしたり。みんなが移動できるようにするためにはいろいろな方法が考えられます。視覚障害者の移動を妨げるバリアを無くすにはどんな方法がありそうでしょうか。皆さんも一度考えてみてください。
障害のある人もない人も、大人も子どもも、そして性別や国籍、能力や体力の違いなどにもかかわらず、可能な限りいろんな人にとって使いやすいデザイン(モノやサービス、都市や生活環境など)のこと。バリアフリーが障害者や高齢者などの一部の人を対象として、今ある障壁を取り除く、という考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインは最初からどんな人にも使いやすいように設計されたものを言います。
文字を大きくして読みやすくするための道具です。対象物をカメラで読み取り拡大してモニターに映し出します。一般的な本や印刷物の文字の大きさだと見えない・見えにくい、すごく目を近づけたり必死に頑張れば見えるけれどとても疲れる、という弱視やロービジョンの方が利用しています。分類としては「据置型」と「携帯型」がありますが、モニターサイズや機能はさまざま。購入前にどのような用途で活用したいのか、じっくり考えて選ぶのが良いでしょう。
通称「ブラサカ」と呼ばれる、視覚障害者が行う1チーム5人制のサッカーです。キーパー以外のフィールドの4人はアイマスクを着用し、声や音、信頼を頼りにプレーします。見えていない状態でグラウンドを駆け回るなんてできるの?と思う方も多いでしょう。ですが実際の試合を見るとそのスピードに驚かされます。秘訣はコミュニケーション。見えているキーパー、監督、ガイド(コーラー)がわかりやすく指示を伝え、フィールドプレイヤーが瞬時にイメージして動きます。まさにチーム力が問われる競技です。
ゴールボールとは、視覚障害者のために考案されたパラスポーツで、パラリンピックの種目です。目隠しをつけて鈴の入ったボールを転がすように投げ合い、相手ゴールにボールを入れて得点を競います。バレーボールと同じ広さのコートを利用し、各チーム3人ずつの選手が攻撃と守備を繰り返し、ボールがゴールに入ると1点が入ります。音を頼りに競技をするためプレイ中に音や声を出しての応援はできませんが、得点が入った際は大きな歓声を上げてくださいね!
フロアバレーボールは視覚障害者と健常者が一緒にプレイできるように考案された球技です。普段見慣れている6人制バレーボールと大きく違う点は、ボールを転がしネット下に通してラリーをすることです。初めて全国盲学校フロアバレーボール大会を観戦した歩導くん部門の社員は、大興奮のあまり見入ってしまい、決勝戦では大接戦の試合に思わず涙する姿も…。試合前後に互いのチームにエールを送り合う姿も素敵です。皆さんももう一つの甲子園にもエールを届けてみませんか?
視覚障害者用の卓球競技です。頭文字を取ってSTTと略されることもあります。一般的な卓球との大きな違いとしては、プレイヤーは全員アイマスクを付けて試合を行うこと、音の鳴るボールを使用すること、ボールを転がして卓球台とネットの間の隙間を通過させ相手コートへに入れること、などがあります。全国障害者スポーツ大会の種目にもなっており、メジャーなブラインドスポーツのうちのひとつですのでぜひ注目してみてください。ただし声を出しての応援はできませんので観戦の際はご注意を。
障害のある人が所持できる手帳です。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類があり、さらに障害の程度に応じて等級が分けられています。手帳の種類や等級による違いはあるものの、福祉・就労・公共や民間のサービスにおいて一定の支援や控除を受けることができます。手帳は申請によって都道府県知事および指定都市の市長から交付されるものです。該当する人の中にも、障害を受け入れたくない、制度を知らないなどさまざまな理由から、手帳を所持しないまま生活している人がいます。手帳の取得はご自身の判断であり強制されるものではありませんが、まずは正しい情報を得るためにお住いの地域の障害福祉課にご相談していただきたいと思います。
横断歩道の真ん中あたりに直線的に設置されている突起状の道筋のことです。視覚障害の人は手がかりのない広い空間を真っすぐ歩くのが容易ではありません。そのため横断歩道を外れてしまったり、方向を見失って進めなくなることがあります。これによる事故を防ぐため、凹凸で進路をわかるようにしています。同様に踏切内の事故を防ぐため誘導表示の整備が進められていますが、これもエスコートゾーンの一種とされています。
パソコンやスマートフォンを目で見て操作するのが難しい視覚障害者のために、画面情報を音声で読み上げてくれるソフトウェアです。機器に標準で搭載されているもの、後からインストールするもの(有料と無料がある)など種類はさまざまです。はじめは操作の習得に苦労するかもしれませんが、各地で講習会が開かれていたり、中には個別で教えてくれるところもあります。お住いの自治体や地域の当事者団体、または支援団体に相談するのが良いでしょう。
見えない・見えにくい人が、福祉や教育、リハビリテーションといったサービスに繋がれるようにするための社会システムです。各都道府県単位でその地域の制度や支援施設などの情報をまとめたリーフレットを作成しており、眼科を訪れた患者さんに渡すことで、医療から福祉への橋渡しができるようになっています。webからダウンロードできるものもありますのでご確認ください。
同じ漢字で「ぼくじ」と読むときは墨で書かれた文字のことを指します。「すみじ」と読むとき、また視覚障害者が使用する点字と対で用いるときは、紙に書かれた(あるいは印刷された)ふつうの文字のことを指します。点字と対で使用する場合は、いわゆる目で読める文字という意味合いになり、視覚障害者に「資料は点字と墨字どちらでご用意しましょうか?」と尋ねたり、視覚障害者が相手に「近づければ読めますので墨字の資料をお願いします」と伝えたりすることがあります。
視覚障害者の読み書きのために考案された文字。一般的には横2つ縦3つの6点の組み合わせでカナ・数字・アルファベット・記号を表します。漢字を表現する8点式点字もありますが、現状使用されている多くが6点式です。点字はすべて横書きで、紙の裏面に右から左へ書いていき、それをひっくり返して左から右へと読んでいきます。書き方は、点字盤と点筆、あるいはタイプライターやパソコンなどの方法があり、いずれも紙の裏面から針で突いて凹凸をつくります。読むときは突起部分を指で触って文字を判別します。ただし、点字の触読を習得するのは容易ではなく、特に中途視覚障害者が覚えるためには非常に時間がかかります。そのため国内の視覚障害者のうち、点字を読める人は視覚障害者全体の1割程度と言われています。