知る・役立つ
視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱などの障害・症状を2つ以上併せ持つ重複障害のうち、視覚とその他の障害を有する状態のこと。近年の視覚特別支援学校(盲学校)では、生徒数の減少に反比例して重複障害児童の割合が増えており、中でも視覚と知的に障害のある児童が多いことから、教育の在り方も変化が求められています。また視覚と聴覚の重複障害である盲ろう者は、すべての方が全盲ろうということではなく人によって見え方・聞こえ方はさまざまです。
街でパートナーと歩いている盲導犬は仕事の最中です。やってはいけないことを知って安全な移動にご協力ください。「声をかけたり口笛を吹いたりしない」「目を合わせて気を惹く行動をしない」「さわらない」「食べものを見せたり与えたりしない」 反対にやってほしいこともあります。まずは盲導犬の視界の外から静かに見守ってください。そして信号のある場所や、道に迷っている様子が見られたら、視覚障害者にお声がけをお願いします。
日本では、2023年3月31日現在で836頭の盲導犬が実働しています(※)。ですが盲導犬を希望している視覚障害者はおよそ3,000人とみられており、まったく足りていません。英・米・仏などの諸外国と比べてもかなり少なく、さらに2009年をピークに年々減少傾向にあります。減少理由はいくつかあると考えられますが、盲導犬1頭の育成にかかる費用は5~600万と言われており、そのほとんどが寄付でまかなわれていることから厳しい現実が見えてきます。
(※)社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会・自立支援施設部会盲導犬委員会報告書
不特定多数の人が利用する施設は、盲導犬の同伴を拒否してはいけません。これは身体障害者補助犬法、および障害者差別解消法で定められています。補助犬とは、盲導犬・介助犬・聴導犬の総称です。身体障害者補助犬法では、施設側への受け入れ義務だけでなく、訓練事業者に質の高い補助犬の育成を、ユーザーには予防接種や定期健康診断などの健康管理、ブラッシングやシャンプーなどの衛生管理、適切な場所での排泄といった行動管理を義務付けています。
盲導犬の生涯には5つの節目があります。まずは誕生。盲導犬候補として生まれた子犬は2ヶ月ほど母犬や兄弟と一緒に過ごします。その後パピーウォーカーと呼ばれるボランティアのご家庭に10か月ほど預けられます。ここで人間と暮らす楽しさを覚え、人間への信頼を育んでいきます。続いて訓練期。盲導犬育成団体の施設で、盲導犬として必要な訓練を受けます。試験に合格したら、のちにパートナーとなる視覚障害者のユーザーと一緒に共同訓練も行います。いよいよ実践。ユーザーの家で共同生活をしながら、いろんなところへお出かけします。そして引退。10歳ごろを目安にユーザーの元を離れ、ボランティアの一般家庭でゆっくり過ごします。
視覚に障害のあるユーザーと一緒に外出し、移動の手助けをしてくれる犬。仕事中はハーネスという白い胴輪を付けます。ハーネスの背中部分にあるハンドルを通じてユーザーは盲導犬の動きを感じ取ります。行き先はユーザーが指示をするので盲導犬が自分の意思で誘導するわけではありません。歩行中に障害物・曲がり角・段差があればユーザーに伝えて、安全に導くのが役割です。視覚障害者の行動範囲を広げてくれる大切なパートナーなのです。
視覚に障害のある児童・生徒のための学校です。一般的に幼稚部から高等部まで、年齢に応じた教育が行われます。支援機器を用いたり、点字や白杖歩行などを学ぶ他は、普通学校の教育内容と変わりはありません。違う点として、高等部理療科があるところでは「鍼・灸・あんまマッサージ指圧」の国家資格取得を目指す大人の方も入学されます。以前は盲・聾(聴覚障害者)・養護(知的障害者)の3つの学校に分かれていたのが、2007年4月から複数の障害種別を一本化できる教育制度に移行されました。そのため視覚特別支援学校などの名称に変わった学校もありますが、視覚障害の生徒のみが在籍する学校では現在も盲学校の名称がそのまま使われています。
65歳以上の視覚障害者が入所する施設です。老人福祉法の関連基準では、視覚もしくは聴覚に障害のある入所者が定員の7割を超える施設、とされています。一般の養護老人ホームと比べて、見えない・見えにくい人のための環境整備が充実しており、職員の中にも視覚障害に対する専門知識を持った方がいて安心です。また、同じ障害を持つ人同士なので心が通いやすいという利点もあるようです。2021年10月の厚労省の報告によると、全国の施設数は52軒となっています。